早稲田大学政治経済学部では、日英両語による長文の読み取りが必要となる「総合問題」を、2021年から一般入試に取り入れています。
傾向として思考力・表現力を問う問題に重きが置かれています。
図表やグラフが組み込まれている点も、大きなポイントです。

はじめに

早稲田大学は、同じ大学であっても、学部によって受験科目・配点・問題の傾向などが異なります。合格を勝ち取るには、まず相手を知ることからです。
すなわち、受験勉強をするにあたって、自分が受験する学部の出題内容や傾向を知ることは、最重要事項だといえるでしょう。
今回は、早稲田大学政治経済学部の「総合問題」に注目し、その傾向を分析します。
ぜひ、今後の勉強を進める上での参考にしてください。

出題傾向と配点

政治経済学部の入試は、大学入学共通テスト100点、学部独自試験100点の合計200点満点です。
後者にあたるのが、「総合問題」と呼ばれるもので、日英両語を使用した長文読解・記述問題からなります。
総合問題は、早稲田大学政治経済学部の入試問題として、2021年に初めて導入されました。
120分間のなかで、日英両語による長文を読み解いたうえで解答します。出題パターンは、マーク式・記述式の両方を採用しています。
大問数は3題で、大問1は日本語の文章読解問題、大問2は英文の読解問題、大問3が英作文といった出題傾向です。
2020年3月にサンプル問題が公開され、配点は、大問1が40点、大問2が45点、大問3が15点となっています。
また、7月に公開されたサンプル問題では、大問1が45点、大問2が40点、大問3が15点です。
3月の問題では大問2、7月の問題では大問1の配点が高いのは、グラフの読み取りがあったためだと考えられます。
3月、7月の2度に渡って公開されたサンプル問題をもとに、大問1~3までの分析を行います。

大問1

大問1は、日本語の文章読解問題です。
3月に公開された問題は、早稲田大学政治経済学部教授である河野勝氏の文章からの抜粋でした。(河野勝「復興を支援することは、なぜ正しいのか」(金慧氏との共著)『政治を科学することは可能か』中央公論新社、2018年所収)J・ロールズが提唱する「正義論」とそれに対する批判をテーマに書かれた評論文です。
題材となるのは、3月11日の震災及び原発事故からの復興です。
入試問題としてよく出題される政治・社会・現代哲学的文章なので、日頃からこういった文章を読み込んでおけば、戸惑うことはないでしょう。
設問についても、空欄補充、文整序、内容記述(作文)、内容把握と、特別気を付けるべきものはありません。
ただ、文章が長いので、時間配分には注意が必要です。
7月に公開されたサンプル問題のテーマは、選挙制度です。
講義の一部という形式で出題されています。
特長的なのは、グラフの読み取りが問題文の中に組み込まれているという点です。
また、3月の問題と同様、記述式の問題もあります。
内容としては、以下の通りです。
「この日の講義の最後において、「以上の理由から一票の格差を無くすことが大切です。」と講師が述べたとする。
それに対する反論を、理由を1つ延べたうえで解答用紙に書きなさい。」

大問2

大問2は、英文の読解問題です。
3月の問題のテーマは、日本の英語教育です。
グラフや表の統計を含んだ評論文です。
作図、空欄補充、図の選択に加えて、日本語300字以内で記述する問題が出題されています。
次に7月のサンプル問題を見てみると、語数が1500語程度と、前回の900語に比べてかなり多くなっているのに気付きます。
バランスを保つためか、それに対して日本語の記述問題の字数が80字と少なくなっています。
3月の問題に出ていた図表やグラフは、ありません。
これは、7月のサンプル問題では、大問1日本語の文章読解問題にグラフの読み取りが出てくるからだろうと考えられます。
すなわち、大問1、大問2の両方に図表やグラフの読み取り問題が出題される可能性があると言えるでしょう。

大問3

大問3の英作文は、お題が与えられ、そのお題に対して賛成か反対かいずれかの立場を決め、その理由を論述する形式をとっています。
従来の早稲田大学政治経済学部で出題されていた最終問題の自由英作文と比較的似ているので、過去問での対策が有効です。
3月の問題は、「人工知能は最終的に人間の知能を超えるだろう」について、賛成または反対の立場をとり、少なくとも2つの理由を述べる意見論述が求められました。
7月の問題についても形式が類似しています。
具体的には、「印刷メディアは世界から姿を消すだろう」という意見に対して、同意または反対する2つ以上の理由を説明せよ、といった内容です。

今までの政治経済学部入試問題「国語」との違い

3月・7月両方のサンプル問題ともに、早稲田大学政治経済学部総合問題に古文・漢文は出題されず、現代日本語の読解力を問う問題のみです。
国語の基礎学力が備わっているか確認する問題に加えて、7月の問題に関しては、グラフや図表を取り入れた問題が出題されました。
文章読解能力だけでなく、実用的な内容の読み取りができるかが問われます。
また、時代の流れに即して、より「考えて、書かせる」記述問題の比重が大きくなったのもポイントです。
比重のみならず、今までと比較してさらに高度な思考力・表現力が問われるようになりました。
サンプルの記述問題を見てみると、これまでのように、「~という形式にまとめること」「~の語句を用いること」「~字以上・・・以内で記入すること」といったガイドがないことに気付きます。

今までの政治経済学部「英語」との違い

今まで通り、語彙や文法といった英語の基礎学力も当然必要です。
それだけでなく、より自分で考え、それを表現する力が測られる傾向にあるというのが、これまでの問題との一番の違いです。
また、文章自体は平易になりましたが、本文と図表の情報を組み合わせて解答を導く力や、情報を複数組み合わせて解答を導く力、数理的な処理力が求められるようになったというのも特筆すべき点でしょう。
さらに、テーマに即して理由とともに日本語で論述したり、本文や図表の内容を理解し、それらを踏まえて表現する力などが試されます。
あくまで、英語は手段にすぎません。
早稲田大学政治経済学部に入学した後、学生たちは英語で論文を読み、それをもとに自分で論文を執筆することになります。
出された課題をこなせるだけの基礎力が備わっているかを問われるというわけです。

まとめ

早稲田大学政治経済学部の一般入試として、2021年から導入されている「総合問題」は、日英両語による長文の読み取りがベースとなります。
その中で、思考力・表現力が試される問題の比重が大きくなっています。
また、グラフや図表の読み取りが組み込まれている点もポイントです。
日頃から様々な種類の文章を読み、自分なりの考えを持つことが求められます。
特に、グラフなどを含んだ文章に関しては、積極的に読むようにしましょう。
それが合格への近道です。さらに言えば、そうして育んだ力は、入学してからも役に立つこと間違いなしです。